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ご案内・ご注意
※通信販売限定販売
原産国:日本製(京都)
電子レンジ:不可
食器洗浄機:不可
●製造の工程上、若干のサイズ、色、質感などばらつきがございます。
原材料の一覧
商品仕様
■サイズ/口径105×高さ75mm
醍醐窯について
楽焼の窯元「醍醐窯」は、太閤・秀吉が晩年に花見の宴を催したことで知られる京都伏見・醍醐寺の畔で、 八十年余り器を作り続けています。伏見稲荷人形の吉向焼で修行した初代荷平が伏見稲荷の一文字をとって、「荷平(かへい)」と名乗りました。初代荷平からの薫陶を受け継ぎ「美しく使える」を銘に、四代に渡って器を作り続けています。 現在の当主、四代目荷平は、父三代目荷平の急逝に伴い、四代目を受け継ぎました。初代荷平からの薫陶と窯、そして千にも及ぶ型を受け継ぎ、日々研鑽しながら作陶に勤しんでいます。
楽焼とは
楽焼の始まりは天正年間(16世紀後半)。茶人である千利休の指導によって、瓦職人だった長次郎が、聚楽第(じゅらくだい)を建造する際に、土中から掘り出された土(聚楽土)を使って焼いた「聚楽焼」が発祥です。楽焼には大きな三つの特徴があります。
- 土:粗く空気を多く含む楽土を使用。
- 作り方:びねりで形成することで手に馴染む形。醍醐窯では、手作りの原型をもとにした型により量産化を実現。(※今回の抹茶碗は手びねりで形成されています。)
- 焼き方:引き出し窯という、楽焼独特の低温焼成。
粗く空気を多く含む楽土は断熱性に優れ、外側までその熱が伝わりにくく、温度が冷めにくいといわれています。そのため、抹茶碗に楽焼が多く用いられます。
また、最大の特徴である焼き方ですが、通常の焼き物の焼成温度は1200〜1250度で、長い時間をかけて温度を上げ、焼成後は同じくらいの時間をかけて徐冷をしなければなりません。楽焼は他の陶器と違い、800〜900度の低火度焼成が特徴的で、釉薬が溶けた段階ですぐに取り出して冷却する「引き出し」という技法によって作られます。
これらの特徴により、楽焼独特の柔らかい風合いが出ます。
引き出し窯について
現在京都にある楽焼の窯元5件の中でも、醍醐窯以外には現存しないかもしれないと言われている「引き出し窯」をルピシアスタッフが見学させていただきました。
現在は、規制により新設できないとのことで、60年以上大切に使われてきた窯が引き継がれています。想像していたよりも小ぶりな窯ですが、これは熱効率をよく伝えるためではないかと、四代目荷平が話してくれました。
真っ赤に熱せられた窯は860度に達しており、釉薬を掛けた抹茶碗を一つづつ丁寧に並べてゆきます。1回の焼成は20分で、窯に入れたと思ったらすぐに焼き上がり、阿吽の呼吸で静かに作業が進んでゆきます。窯入れの作業は、温度を下げないためのスピード感と、総掛けした釉薬が窯の壁面や隣の製品と触れあわないようにするため、慎重さも求められます。隣合った製品と釉薬がくっついてしまうと、販売できないものとなってしまうため、学生時代に家業の手伝いでこの窯入れをしていた四代目は、「この窯入れで失敗すると、2つのものが製品として出荷できなくなる」と三代目からきつく言われていたそうです。当時は、「プレッシャーを与えてくるなぁ」程度に思っていたそうですが、当主となり全工程をご自身でするようになった今では、この最後の工程に対する三代目の思いを理解し、言葉の重みを感じるそうです。
シカやタヌキ、サルなどが出てくるという自然豊かな窯元を取材させていただいたのは、お盆前の夏真っ盛り。冬には、窯の温かさにつられて子ダヌキが入り込んでしまったということもあるそうですが、夏の窯仕事は暑さと熱さの戦いです。この日も、1日で13回ほど行うとのことでした。
焼かれて出てきた真っ赤な抹茶碗が、みるみるうちに冷却されて落ち着いた色になり、チリンチリンという貫入音が、セミの鳴き声だけが響き渡る窯場に聞こえてきます。つたう汗を拭くのも忘れて聞き入ってしまいました。
まだお若い四代目ですが、信頼できるスタッフやご家族とともに、日々研鑽を積まれていることがさまざまなお話から感じられます。新しい取り組みも始めてゆきたい、とお話をされる四代目から秘めた熱い思いを感じる、夏の一日でした。