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ご案内・ご注意
※通信販売・一部店舗限定販売
※電子レンジ:使用不可
※食器洗浄機:使用不可
※燭台が熱くなりますので、使用後すぐには触らないでください。
※和ろうそくは連続して使用せず、燭台が冷めてからご使用ください。
原材料の一覧
芯:和紙、灯芯草 ※商品の改定などにより、商品パッケージの記載内容が上記内容と一部異なる場合がございます。
商品仕様
■サイズ/ろうそく:90mm、燭台:直径55mm、箱:190x130x40mm
■手提げサイズ/ルピシア手提げ 小、Xmas手提げ
高澤商店「和ろうそく」について
2024年クリスマステーマ「オチャ カヲル ノエル」のコンセプトでもある「和の心」にちなみ、石川県能登地方・七尾の高澤商店さんと和ろうそく製品をコラボレーションさせていただきました。高澤商店5代目高澤 久 代表取締役に七尾でお話を伺いました。
高澤商店について
高澤商店は石川県能登地方・七尾の地に1892年(明治25年)創業し、130年以上伝統的な製法で七尾和ろうそくを作り続けています。
古くは天然の良港として栄え、北前船で様々な材料が各地から届いた七尾は、職人を集めてものづくりを行い、できあがったものをまた各地へ運んでいたそうで、和ろうそくは九州や東北各地にまで運ばれていました。
店舗のある一本杉通りは、七尾駅前を流れる御祓(みそぎ)川にかかる紅色が美しい橋から続く800mほどのまっすぐな通りで、600年以上の歴史があります。一本杉通りには、50店舗あまりが並び、建物は主に寄棟造りの町家で、いくつかは高澤ろうそく店同様に国登録有形文化財に指定され、当時の面影を残していました。
しかし、2024年1月1日に発生した能登半島地震で、高澤商店も被災し、守り続けてきた築100年以上の店舗の壁が崩れて瓦も落ちる甚大な被害を受けました。通りの多くの店舗も被災し、現在は7割ほどが仮設店舗などで営業していますが、発生からまもなく1年が経とうとしているにもかかわらず、その爪痕はまだ生々しくあちらこちらにありました。高澤ろうそく店は現在修復中のため、200mほど先の仮店舗で営業しています。店舗の修復には、少なくとも3年ほどはかかりそうとのことです。被災した店舗の中を拝見させていただきましたが、立派な大黒柱が斜めになり、柱に掛けられた時計も止まっていました。時計の針が地震の時刻でないのは、地震が発生した時刻で一度止まったが、その後の余震で振り子が揺られてまた動き出し、時間が進んでまた止まったからだそうです。店舗は70〜80pほど横に大きくずれて、隣の店舗とのすき間にはめられた真新しい板が、その激しさを物語っていました。
修復中の店舗は板で覆われていますが、その上には金沢在住のアーティスト輪島 貫太さんの明るい色彩の絵画が展示されていました。みんなが少しでも元気な気持ちになれるよう、展示しているのだそうです。また、修復される店舗も全てを新設するのではなく、地域の方々のためにもかつての面影を残すように検討されているのだそうです。
現在営業している仮店舗の入り口には、「和蠟燭」と染められたのれんが掛けられています。これは被災した店舗から掘り出されたものだそうです。復興とは程遠い通りを吹き抜ける風に揺れるのれんに、並々ならぬ想いを感じます。
和ろうそくとは
和ろうそくは元々の用途としては仏事が主で、寺院や仏壇の灯りとして用いられたり、お墓参りで使われたりすることが大半でした。そのため、大小さまざまなサイズがありますが、基本的な作り方は同じです。大きなサイズはお寺で使われ、特に北陸で熱心に信仰される浄土真宗では和ろうそくをよく使い、朱色のろうそくは豪華なイメージがあるため、ご先祖様を敬う気持ちから珍重されたそうです。和ろうそくとしてイメージされやすい花が描かれたものは、生花が手に入りにくい冬場、ろうそくに花を描いて供えたものが始まりだそうです。現代の我々が想像するよりも、ご先祖様との距離が近かったように思います。
和ろうそくには大きく2つの特徴があります。
植物性の材料
日本に昔からあるもので、ウルシ科のハゼ、米ヌカ、菜種、ヤシなどから採った植物油、和紙、灯芯草(とうしんそう/イグサの仲間)、真綿が材料となります。自然が近くにある環境から材料を集めて作ったことがわかり、和ろうそくは、とても日本的なものづくりであることが、材料からも感じられると高澤社長は語られます。
巻いた和紙で作った細い筒に、さらに手作業で灯芯草を巻き、さらにその上から真綿を細く取った糸を巻きつけて固定します。この筒が和ろうそくの芯(灯芯)となり、空気が供給されて、大きく揺らめく炎が灯ります。
大きくゆらぐ炎
空気が通るための通り穴があることも特徴です。先端に火を灯すと、空気が温かさに引き込まれて、下の隙間から先端へどんどん供給されます。空気がたくさん入ると炎が大きくなり、煤が出にくくなります。空気を吸い上げるときに、炎がポポポッと大きく揺らめきます。風がないところで炎が揺らめくのはそのためです。
和ろうそくの作り方
約400年もの歴史がある16の寺院が集まった山の寺寺院群の傍らの静かな環境で、和ろうそくは作られます。
約100年前、昭和初め頃からこの場所で作られているそうで、「蝋で床が滑るので気を付けてください」と仰ってくださいましたが、確かにツルツルとしており、ものづくりの歴史を感じることができました。
和ろうそくの基本的な作り方
- 灯芯に竹串を通し、蝋を流した際に穴が押しつぶされないようにする(竹串は最後に抜く)。
- かまどの窯で蝋を溶かす。燃料は薪(まき)を使用。薪は里山を守るために間伐する木を使っていて、8時から始業するために、6時頃から火を入れ始めて約2時間をかけて蝋を溶かしていくそうです。ここで溶かされている蝋の香りが、なんとも言えないほんのりとした温かみのある甘い香りとなり作業場中に漂っています。
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- 木型に蝋を流し、水で型を冷やしながら固める。
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- 熱した蝋を流し込んだ型を水道と井戸水で冷却。そのため、震災後に一番困ったことが水でした。2ヵ月間も水が出なかったので、近くの田んぼの共同水を引かせてもらい、震災後一ヵ月後頃からようやく製造を再開できました。
- ろうそくからはみ出た灯芯部分を、七輪で熱した大きな包丁で切ります。切り取られた灯芯の端はかまどの着火剤として再利用されます。
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- 一部のミニサイズ製品などを除き、表面仕上げをします。朱色や白色の別の蝋につけて上掛けし、灯したときに溶けた蝋を垂れにくくします。
- 最後に、ろうそくの形を整えるためにバリ部分(はみ出した箇所)を削って仕上げます。もちろん、バリ取りで削った蝋もまた溶かして再生されます。材料として余るものが全くないことに驚きました。
- 各作業部門をローテ―ションし、3年間でようやくひと通りの流れが把握できるそうで、皆さん30年ほど勤続されているそうです。一日に3万本もの和ろうそくがここで作られているとのことで、女性の方が多いのが印象的でした。高澤社長のおじい様である3代目が、女性が働きやすいようにと、扱いやすい機械を考えて導入されたそうです。
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続けること、繋いでいくこと
すべてが手作りで、しかも無駄のないものづくりに圧倒された現場でした。大切な自然の恵みをいただき、その代わりひとつとして無駄にせず、大切に使い切る。できあがった和ろうそくは芯もすべてを燃やしつくし、残るものがなく、与えられた恵みを全うさせる、というものづくりの姿勢に脱帽の思いでした。高澤商店では、伝統的な和ろうそく作りだけではなく、能登・珠洲の炭焼きで製品にならなかったものを使って黒く色付けしたものなど、新しい製品も作っています。伝統的な文化や技術は継承しつつ、その立場に甘んじることなく、新しいことにもチャレンジされる姿勢が伺えました。
「時間を過ごす」ことの大切さ
火を灯せる環境が少なくなりつつある中、「火がある暮らしを提案する」ことが使命だと思っている、と語る高澤社長。お仏壇に灯すことはもちろん、お茶と同じように灯した火をゆっくりと眺める「時間を過ごす」ということがとても大事で、ストレスフルな暮らしの中、飲みものや火を通して過ごす時間は、忙しいからこそ必要な時間だと思う、と語られます。
震災によって、伝えられる言葉もないほどの被害を受けられていますが、先祖から続いてきたものづくりを続けていこう、繋いでいこうという思いを高澤商店の皆さまから感じました。温かな炎の裏側には人々のたゆまぬ努力や工夫があり、それはお茶作りにも繋がることでした。日本のものづくりが衰退してゆくことが多く聞かれる時代ですが、豊かな灯りを眺めながら一杯の温かいお茶を味わえることに感謝しつつ、ぜひ素敵な時間をお過ごしください。
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